原告妻の思い

楽が噛みつかれた後、『犬のノーリード』をどうすれば無くすことができるのかを、私たちはずっと考え話し合ってきました。

提訴から判決まで2年以上かかりました。反省のない被告、被告友人の主張に心身ともに疲弊し、その間ノーリードをし続ける人たちがいることも今回の事件に加えて更に私たちを苦しめました。

2021年5月14日に放送された、楽の咬傷事件を取り上げてくれたテレビ番組のYouTubeが104万回再生されました。

反響が想像以上で、それだけ今回の件に関心を持ってくれたんだと思いました。

コメントも全てではありませんが読みました。

楽が唸ったこと、立ち話をしていた私が悪い等の批判コメント、ノーリード肯定派のコメントもありました。

ノーリードの被害に遭った楽の放送を見て、どうしてノーリードを肯定するコメントを投稿できるのかと憤りを覚えました。これが、今の日本の現状なのだと痛感しました。

ですが、ノーリード肯定派のコメントよりも私が憤ったのは『ノーリードによる咬傷事件』の体験者が多く存在するということです。

被告を提訴すると決意した後、ペット裁判の判例書籍を読んだり、ネットで検索をしたので、『ノーリードによる咬傷事件』が起こっていることは知っていましたが、公開されている情報は『氷山の一角』なのだということがわかりました。

『楽の咬傷事件』は、被告が被告犬の過去の咬傷歴に対して、適切に対処してこなかったことが要因の一つです。しかしどんなに問題がある犬であったとしても、飼い主が犬をリードに繋ぎ動きを制御できていれば、噛みつかれる犬(猫、鳥、人…)もいなくなります。

被告犬が被告の主張通りならば、『よくしつけられており、ノーリードではなかった被告犬』の制御は容易であり、楽が噛みつかれることはありませんでした。犬をリードに繋げていても制御できなかったのであれば、なんのために犬をリードに繋ぐのでしょう。

2019年11月11日。それまで公判には被告代理人のみ出席していました。

この日はじめて被告が出席しました。私の目の前に被告、被告の横には被告代理人がいました。

裁判官の前で被告代理人は、「モノですからね。物損ですから、言い方悪いですけど。慰謝料が発生する内容ではないですから。治療費は払うと最初から言ってますから。」と言いました。

信じられない思いで被告を見ましたが、被告は背筋を伸ばし私の頭上の向こうを見つめたまま何も言いませんでした。

2020年2月6日。原告と被告が裁判官と個別に話すということになりました。

私たちは裁判官に、『ノーリードが認められるのは厳しいこと』『裁判をしても金額が低いのは承知していること』『大事なのは判決文の中身であること』、そして『楽の身体をもと通りにしてくれるのなら、お金なんて一円もいらないこと』を訴えました。

その日、被告から和解を提案されましたが、反省がない被告の提案は即刻拒否しました。

『楽の咬傷事件の裁判』は、ノーリードで事件を起こしても嘘をついてくれる友人がいれば逃げきれるということを証明してしまった裁判です。

私たちの住む杉並区では、楽の咬傷事件がテレビ、新聞、ネットで報道されたおかげか、毎日のように見ていたノーリードの犬を見かけなくなりました。

『ノーリードは病気』なのですぐ再発するだろうけれど、せめて3週間は見かけたくないと思っていました。

しかし3週間も経たず、2021年5月28日。甲斐犬をノーリードにしている60代と思しき夫婦を見かけました。「ノーリードやめてください。」と言うと、なぜ注意されているのかわからないといった顔で私を見るもののリードは持たず。もう1度言うと女性がのそのそと地面からリードを拾い上げました。

5月29日。ノーリードのアメリカンコッカースパニエル。20mくらいのリードを付けたラブラドゥードゥルが公園を走っていました。60後半と思しき女性2人でした。

犬を日常的にノーリードにする人間は、善悪の感覚が麻痺しているのだと思います。

それが顕著にあらわれているのが被告友人の主張です。

  • 「犬が好きでずっと犬を飼っている。犬は飼い慣れている。しつけも慣れている。」
  • 「犬をノーリードにすることはあまりない。被告犬と子犬の時から遊んでいるので、じゃれ合うとリードが絡むので、丁度リードをはなしたところだった。いつもいつもはなすということはない。」
  • (ノーリードにした場合、危険な事件が起きることは想像していないのか?と聞かれ、)「それは想像しているが、私がノーリードにしたことは今回の件に関係があるんでしょうか。」
  • (この事件は被告の友人がノーリードにしたことが原因になったと考えないのか?と聞かれ、)「それはないと思う。」
  • (原告犬と被告の友人の犬の間が2~3mの距離になった。原告犬も唸っているので、自分の犬を後退させるとかしなかったか?と聞かれ、)「うちの犬はそのときリードが付いていませんでしたが、よその犬に威嚇することが全くない。原告犬にも何回も前から会って知ってたので、特にそんなに警戒するということもなく、そういう状況でした。」

犬をノーリードにする人間が悪いのであり、犬が悪いわけではありません。

それでも、自分の家族である犬(猫、鳥、人…)がノーリードの犬に噛みつかれれば、腹が立つでは収まらない感情が湧き上がってきます。

ただ、どうして噛みつくような犬になったのかと考えたとき、やはり原因は人間なのです。

そこを取り違えないでください。

みなさまの力が必要です。
人間である私たちが認識を変えることが、生き物の幸福に繋がるのだと私は思っています。

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